ある朝彼は山へ行く途中、ちょうど部落のはずれにある噴き井の前を通りかかると、あの娘が三四人の女たちと一しょに、水甕へ水を汲んでいるのに遇った。
噴き井の上には白椿が、まだ疎に咲き残って、絶えず湧きこぼれる水の水沫は、その花と葉とを洩れる日の光に、かすかな虹を描いていた。
娘は身をかがめながら、苔蒸した井筒に溢れる水を素焼の甕へ落していたが、ほかの女たちはもう水を汲み了えたのか、皆甕を頭に載せて、しっきりなく飛び交う燕の中を、家々へ帰ろうとする所であった。
ある朝彼は山へ行く途中、ちょうど部落のはずれにある噴き井の前を通りかかると、あの娘が三四人の女たちと一しょに、水甕へ水を汲んでいるのに遇った。
噴き井の上には白椿が、まだ疎に咲き残って、絶えず湧きこぼれる水の水沫は、その花と葉とを洩れる日の光に、かすかな虹を描いていた。
娘は身をかがめながら、苔蒸した井筒に溢れる水を素焼の甕へ落していたが、ほかの女たちはもう水を汲み了えたのか、皆甕を頭に載せて、しっきりなく飛び交う燕の中を、家々へ帰ろうとする所であった。