しかし山石の苔に青み、山杏の花を発した景色は眇たる小室翠雲は勿論、玉堂鉄翁も知らなかつたほど、如何にも駘蕩と出来上つてゐる。
僕はこの山水を眺めた時、忽ち厚い硝子越しに脈々たる春風の伝はるのを感じ、更に又胃嚢に漲つた酸の大潮のやうに干上るのを感じた。
木村巽斎、通称は太吉、堂を蒹葭と呼んだ大阪町人は実にこの山水の素人作者である。
しかし山石の苔に青み、山杏の花を発した景色は眇たる小室翠雲は勿論、玉堂鉄翁も知らなかつたほど、如何にも駘蕩と出来上つてゐる。
僕はこの山水を眺めた時、忽ち厚い硝子越しに脈々たる春風の伝はるのを感じ、更に又胃嚢に漲つた酸の大潮のやうに干上るのを感じた。
木村巽斎、通称は太吉、堂を蒹葭と呼んだ大阪町人は実にこの山水の素人作者である。