僕はこの山水を眺めた時、忽ち厚い硝子越しに脈々たる春風の伝はるのを感じ、更に又胃嚢に漲つた酸の大潮のやうに干上るのを感じた。
木村巽斎、通称は太吉、堂を蒹葭と呼んだ大阪町人は実にこの山水の素人作者である。
巽斎は名は孔恭、字は世粛と云ひ、大阪の堀江に住んでゐた造り酒屋の息子である。
僕はこの山水を眺めた時、忽ち厚い硝子越しに脈々たる春風の伝はるのを感じ、更に又胃嚢に漲つた酸の大潮のやうに干上るのを感じた。
木村巽斎、通称は太吉、堂を蒹葭と呼んだ大阪町人は実にこの山水の素人作者である。
巽斎は名は孔恭、字は世粛と云ひ、大阪の堀江に住んでゐた造り酒屋の息子である。