――が、かう云ふ太平な風物の中にゐたのでは、さぞ悪魔も、気が楽だらうと思ふと、決してさうではない。
彼は、一度この梵鐘の音を聞くと、聖保羅の寺の鐘を聞いたよりも、一層、不快さうに、顔をしかめて、むしやうに畑を打ち始めた。
何故かと云ふと、こののんびりした鐘の音を聞いて、この曖々たる日光に浴してゐると、不思議に、心がゆるんで来る。
――が、かう云ふ太平な風物の中にゐたのでは、さぞ悪魔も、気が楽だらうと思ふと、決してさうではない。
彼は、一度この梵鐘の音を聞くと、聖保羅の寺の鐘を聞いたよりも、一層、不快さうに、顔をしかめて、むしやうに畑を打ち始めた。
何故かと云ふと、こののんびりした鐘の音を聞いて、この曖々たる日光に浴してゐると、不思議に、心がゆるんで来る。