芥川龍之介 『たね子の憂鬱』 しかしやっとひと息ついたと思うと、今度は三鞭酒の杯を挙げて立ち上らなければならなかった。 それはこの晩餐の中でも最も苦しい何分かだった。 彼女は怯ず怯ず椅子を離れ、目八分に杯をさし上げたまま、いつか背骨さえ震え出したのを感じた。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア