唯僕の父の死骸を病院から実家へ運ぶ時、大きい春の月が一つ、僕の父の柩車の上を照らしていたことを覚えている。
僕は今年の三月の半ばにまだ懐炉を入れたまま、久しぶりに妻と墓参りをした。
久しぶりに、――しかし小さい墓は勿論、墓の上に枝を伸ばした一株の赤松も変らなかった。
唯僕の父の死骸を病院から実家へ運ぶ時、大きい春の月が一つ、僕の父の柩車の上を照らしていたことを覚えている。
僕は今年の三月の半ばにまだ懐炉を入れたまま、久しぶりに妻と墓参りをした。
久しぶりに、――しかし小さい墓は勿論、墓の上に枝を伸ばした一株の赤松も変らなかった。