――それぎり良平は使の帰りに、人気のない工事場のトロツコを見ても、二度と乗つて見ようと思つた事はない。
唯その時の土工の姿は、今でも良平の頭の何処かに、はつきりした記憶を残してゐる。
薄明りの中に仄めいた、小さい黄色の麦藁帽、――しかしその記憶さへも、年毎に色彩は薄れるらしい。
――それぎり良平は使の帰りに、人気のない工事場のトロツコを見ても、二度と乗つて見ようと思つた事はない。
唯その時の土工の姿は、今でも良平の頭の何処かに、はつきりした記憶を残してゐる。
薄明りの中に仄めいた、小さい黄色の麦藁帽、――しかしその記憶さへも、年毎に色彩は薄れるらしい。