芥川龍之介 『秋』 二三時間の後、信子は電車の終点に急ぐべく、幌俥の上に揺られてゐた。 彼女の眼にはひる外の世界は、前部の幌を切りぬいた、四角なセルロイドの窓だけであつた。 其処には場末らしい家々と色づいた雑木の梢とが、徐にしかも絶え間なく、後へ後へと流れて行つた。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア