倅の仁太郎は足かけ八年、腰ぬけ同様に床に就いてゐた。
かう云ふ倅の死んだことは「後生よし」と云はれるお住にも、悲しいとばかりは限らなかつた。
お住は仁太郎の棺の前へ一本線香を手向けた時には、兎に角朝比奈の切通しか何かをやつと通り抜けたやうな気がしてゐた。
倅の仁太郎は足かけ八年、腰ぬけ同様に床に就いてゐた。
かう云ふ倅の死んだことは「後生よし」と云はれるお住にも、悲しいとばかりは限らなかつた。
お住は仁太郎の棺の前へ一本線香を手向けた時には、兎に角朝比奈の切通しか何かをやつと通り抜けたやうな気がしてゐた。