芝居を見る事は二歳位の頃から、よく家のものと一しよに見た。
だから芝居より役者の芸が、役者の芸よりも土間桟敷の見物が、余程自分には面白かつた。
その時も自分の隣にゐた、どこかの御店者らしい、鳥打帽をかぶつた男が、甘栗を食ひながら、熱心に舞台を見てゐる方が、天下の名優よりも興味があつた。
芝居を見る事は二歳位の頃から、よく家のものと一しよに見た。
だから芝居より役者の芸が、役者の芸よりも土間桟敷の見物が、余程自分には面白かつた。
その時も自分の隣にゐた、どこかの御店者らしい、鳥打帽をかぶつた男が、甘栗を食ひながら、熱心に舞台を見てゐる方が、天下の名優よりも興味があつた。