自分はびつくりして、思はず眼を舞台の方へやつた。
見ると成程、女をたらすより外には何等の能もなささうな羽左衛門の若侍が、従容として庭伝ひに歩いて来る所だつた。
が、隣の御店者は、久米の「橘屋」も耳にはいらないやうに、依然として甘栗を食ひながら、食ひつくやうな眼で舞台を眺めてゐる。
自分はびつくりして、思はず眼を舞台の方へやつた。
見ると成程、女をたらすより外には何等の能もなささうな羽左衛門の若侍が、従容として庭伝ひに歩いて来る所だつた。
が、隣の御店者は、久米の「橘屋」も耳にはいらないやうに、依然として甘栗を食ひながら、食ひつくやうな眼で舞台を眺めてゐる。