しかし舞台の上の芝居は、折角その「橘屋」が御出でになつても、池田輝方氏の画以上に俗悪だつた。
自分はとうとう一幕が待ち切れなくつて、舞台が廻つたのを潮に、久米をひつぱつて外へ出た。
星月夜の往来へ出てから「あんな声を出して、莫迦だな」と云つたが、久米は「何、あれだつて中々好い声だよ」と自慢して容易にその愚を認めなかつた。
しかし舞台の上の芝居は、折角その「橘屋」が御出でになつても、池田輝方氏の画以上に俗悪だつた。
自分はとうとう一幕が待ち切れなくつて、舞台が廻つたのを潮に、久米をひつぱつて外へ出た。
星月夜の往来へ出てから「あんな声を出して、莫迦だな」と云つたが、久米は「何、あれだつて中々好い声だよ」と自慢して容易にその愚を認めなかつた。