我々は喫煙室の長椅子に腰を下して、一箱の敷島を吸ひ合ひながら、谷崎潤一郎論を少しやつた。
当時谷崎氏は、在来氏が開拓して来た、妖気靉靆たる耽美主義の畠に、「お艶殺し」の如き、「神童」の如き、或は又「お才と巳之助」の如き、文字通り底気味の悪いFleurs du Mal を育ててゐた。
が、その斑猫のやうな色をした、美しい悪の花は、氏の傾倒してゐるポオやボオドレエルと、同じ荘厳な腐敗の香を放ちながら、或一点では彼等のそれと、全く趣が違つてゐた。
我々は喫煙室の長椅子に腰を下して、一箱の敷島を吸ひ合ひながら、谷崎潤一郎論を少しやつた。
当時谷崎氏は、在来氏が開拓して来た、妖気靉靆たる耽美主義の畠に、「お艶殺し」の如き、「神童」の如き、或は又「お才と巳之助」の如き、文字通り底気味の悪いFleurs du Mal を育ててゐた。
が、その斑猫のやうな色をした、美しい悪の花は、氏の傾倒してゐるポオやボオドレエルと、同じ荘厳な腐敗の香を放ちながら、或一点では彼等のそれと、全く趣が違つてゐた。