芥川龍之介 『あの頃の自分の事』 自分はやがて、かうしてゐても仕方がないと思つたから、物足りない腰をやつと上げて、静に枕元を離れようとした。 その時ふと松岡の顔を見ると、彼は眠りながら睫毛の間へ、涙を一ぱいためてゐた。 いや、さう云へば頬の上にも、涙の流れた痕が残つてゐた。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア