思へば彼とも親しかつた、この情愛の厚いニコライが、故人の数にはひつて以来、二十年あまりの日月は、何時の間にか過ぎてしまつた。
もしニコライの半分でも、リヨフに他人の感情を思ひやる事が出来たなら、――トウルゲネフは長い間、春の夜の更けるのも知らないやうに、この仄暗い龕の中の像へ、寂しさうな眼を注いでゐた。
翌朝トウルゲネフはやや早めに、特にこの家では食堂に定められた、二階の客間へ出かけて行つた。
思へば彼とも親しかつた、この情愛の厚いニコライが、故人の数にはひつて以来、二十年あまりの日月は、何時の間にか過ぎてしまつた。
もしニコライの半分でも、リヨフに他人の感情を思ひやる事が出来たなら、――トウルゲネフは長い間、春の夜の更けるのも知らないやうに、この仄暗い龕の中の像へ、寂しさうな眼を注いでゐた。
翌朝トウルゲネフはやや早めに、特にこの家では食堂に定められた、二階の客間へ出かけて行つた。