もしニコライの半分でも、リヨフに他人の感情を思ひやる事が出来たなら、――トウルゲネフは長い間、春の夜の更けるのも知らないやうに、この仄暗い龕の中の像へ、寂しさうな眼を注いでゐた。
翌朝トウルゲネフはやや早めに、特にこの家では食堂に定められた、二階の客間へ出かけて行つた。
客間の壁には先祖の肖像画が、何枚も壁に並んでゐる、――その肖像画の一つの下に、トルストイは卓へ向ひながら、郵便物に眼を通してゐた。
もしニコライの半分でも、リヨフに他人の感情を思ひやる事が出来たなら、――トウルゲネフは長い間、春の夜の更けるのも知らないやうに、この仄暗い龕の中の像へ、寂しさうな眼を注いでゐた。
翌朝トウルゲネフはやや早めに、特にこの家では食堂に定められた、二階の客間へ出かけて行つた。
客間の壁には先祖の肖像画が、何枚も壁に並んでゐる、――その肖像画の一つの下に、トルストイは卓へ向ひながら、郵便物に眼を通してゐた。