おまけにその棹の雫が、時々乗合の袖にかかるが、船頭はこれにも頓着する容子がない。
――いや、平気なのは、まだ外にもある。
それは例の甘輝字は耳の垢とりで、怪しげな唐装束に鳥の羽毛のついた帽子をかぶりながら、言上げの幟を肩に、獅子ヶ城の櫓へ上つたと云ふ形で、舳の先へ陣どつたのが、船の出た時から、つけ髯をしごいては、しきりに鼻唄をうたつてゐる。
おまけにその棹の雫が、時々乗合の袖にかかるが、船頭はこれにも頓着する容子がない。
――いや、平気なのは、まだ外にもある。
それは例の甘輝字は耳の垢とりで、怪しげな唐装束に鳥の羽毛のついた帽子をかぶりながら、言上げの幟を肩に、獅子ヶ城の櫓へ上つたと云ふ形で、舳の先へ陣どつたのが、船の出た時から、つけ髯をしごいては、しきりに鼻唄をうたつてゐる。