それは例の甘輝字は耳の垢とりで、怪しげな唐装束に鳥の羽毛のついた帽子をかぶりながら、言上げの幟を肩に、獅子ヶ城の櫓へ上つたと云ふ形で、舳の先へ陣どつたのが、船の出た時から、つけ髯をしごいては、しきりに鼻唄をうたつてゐる。
眉のうすい、うけ唇の、高慢な顔を、仔細らしくしやくりながら、「さん谷土手下にぬしのない子がすててんある」と、そそるのだから、これには私ばかりか、太鼓たちも聊たじろいだらしい。
「唐人の『すててん節』は、はじめてでげす。
それは例の甘輝字は耳の垢とりで、怪しげな唐装束に鳥の羽毛のついた帽子をかぶりながら、言上げの幟を肩に、獅子ヶ城の櫓へ上つたと云ふ形で、舳の先へ陣どつたのが、船の出た時から、つけ髯をしごいては、しきりに鼻唄をうたつてゐる。
眉のうすい、うけ唇の、高慢な顔を、仔細らしくしやくりながら、「さん谷土手下にぬしのない子がすててんある」と、そそるのだから、これには私ばかりか、太鼓たちも聊たじろいだらしい。
「唐人の『すててん節』は、はじめてでげす。