――と云ふのは、最初、土手を下りて、あぶなつかしい杭を力に、やつと舟へ乗つたと思ふと、足のふみどころが悪かつたので、舷が水をあほると同時に、大きく一つぐらりとゆれる。
その拍子に、伽羅の油のにほひが、ぷんと私の鼻を打つた。
舟の中に、女がゐる――その位な事は、土手の上から川を見下した時に、知つてゐた。
――と云ふのは、最初、土手を下りて、あぶなつかしい杭を力に、やつと舟へ乗つたと思ふと、足のふみどころが悪かつたので、舷が水をあほると同時に、大きく一つぐらりとゆれる。
その拍子に、伽羅の油のにほひが、ぷんと私の鼻を打つた。
舟の中に、女がゐる――その位な事は、土手の上から川を見下した時に、知つてゐた。