何でも六月の上旬ある日、新蔵はあの界隈に呉服屋を出している、商業学校時代の友だちを引張り出して、一しょに与兵衛鮨へ行ったのだそうですが、そこで一杯やっている内に、その心配な筋と云うのを問わず語りに話して聞かせると、その友だちの泰さんと云うのが急に真面目な顔をして、「じゃお島婆さんに見て貰い給え。
と、熱心に勧め出しました。
そこで仔細を聞いて見ると、この神下しの婆と云うのは、二三年以前に浅草あたりから今の所へ引越して来たので、占もすれば加持もする――それがまた飯綱でも使うのかと思うほど、霊顕があると云うのです。