ほどなく泰さんに別れると、すぐ新蔵が取って返したのは、回向院前の坊主軍鶏で、あたりが暗くなるのを待ちながら、銚子も二三本空にしました。
そうして日がとっぷり暮れると同時に、またそこを飛び出して、酒臭い息を吐きながら、夏外套の袖を後へ刎ねて、押しかけたのはお敏の所――あの神下しの婆の家です。
それが星一つ見えない、暗の夜で、悪く地息が蒸れる癖に、時々ひやりと風が流れる、梅雨中にありがちな天気でした。
ほどなく泰さんに別れると、すぐ新蔵が取って返したのは、回向院前の坊主軍鶏で、あたりが暗くなるのを待ちながら、銚子も二三本空にしました。
そうして日がとっぷり暮れると同時に、またそこを飛び出して、酒臭い息を吐きながら、夏外套の袖を後へ刎ねて、押しかけたのはお敏の所――あの神下しの婆の家です。
それが星一つ見えない、暗の夜で、悪く地息が蒸れる癖に、時々ひやりと風が流れる、梅雨中にありがちな天気でした。