が、寝ていても気にかかるのは、申すまでもなくお敏の事で、勿論今となって見れば、何も相手が心変りをしたと云う訣じゃなく、突然暇をとったのも、二度とこの界隈へ来てくれるなと云ったのも、皆お島婆さんの作略に相異ないのですから、今更のようにお敏を疑ったのが恥しくもなって来ますし、また一方ではこの自分に何の怨もないお島婆さんが、何故そんな作略をめぐらすのだか、不思議で仕方がなかったそうです。
それにつけても人一人身投げをさせて見ているような、鬼婆と一しょにいるのじゃ、今にもお敏は裸のまま、婆娑羅の大神が祭ってある、あの座敷の古柱へ、ぐるぐる巻に括りつけられて、松葉燻しぐらいにはされ兼ねますまい。
そう思うともう新蔵は、おちおち寝てもいられないような気がしますから、四日目には床を離れるが早いか、とにもかくにも泰さんの所へ、知慧を借りに出かけようとすると、ちょうどそこへその泰さんの所から、電話がかかって来たじゃありませんか。