中元の進物の差図をする。
――その合間には、じれったそうな顔をして、帳場格子の上にある時計の針ばかり気にしていました。
そう云う苦しい思いをして、やっと店をぬけ出したのは、まだ西日の照りつける、五時少し前でしたが、その時妙な事があったと云うのは、小僧の一人が揃えて出した日和下駄を突かけて、新刊書類の建看板が未に生乾きのペンキの匀を漂わしている後から、アスファルトの往来へひょいと一足踏み出すと、新蔵のかぶっている麦藁帽子の庇をかすめて、蝶が二羽飛び過ぎました。
中元の進物の差図をする。
――その合間には、じれったそうな顔をして、帳場格子の上にある時計の針ばかり気にしていました。
そう云う苦しい思いをして、やっと店をぬけ出したのは、まだ西日の照りつける、五時少し前でしたが、その時妙な事があったと云うのは、小僧の一人が揃えて出した日和下駄を突かけて、新刊書類の建看板が未に生乾きのペンキの匀を漂わしている後から、アスファルトの往来へひょいと一足踏み出すと、新蔵のかぶっている麦藁帽子の庇をかすめて、蝶が二羽飛び過ぎました。