おれは徐に踵を返して、火の消えた葉巻を啣へながら、寂しい篠懸の間の路を元来た方へ歩き出した。
が、おれの心の中には、今までの疲労と倦怠との代りに、何時か静な悦びがしつとりと薄明く溢れてゐた。
あの二人が死んだと思つたのは、憐むべきおれの迷ひたるに過ぎない。
おれは徐に踵を返して、火の消えた葉巻を啣へながら、寂しい篠懸の間の路を元来た方へ歩き出した。
が、おれの心の中には、今までの疲労と倦怠との代りに、何時か静な悦びがしつとりと薄明く溢れてゐた。
あの二人が死んだと思つたのは、憐むべきおれの迷ひたるに過ぎない。