通い慣れた道ではあるが、自分が若かった昔にくらべれば、どこもかしこも、うそのような変わり方である。
自分が、まだ台盤所の婢女をしていたころの事を思えば、――いや、思いがけない身分ちがいの男に、いどまれて、とうとう沙金を生んだころの事を思えば、今の都は、名ばかりで、そのころのおもかげはほとんどない。
昔は、牛車の行きかいのしげかった道も、今はいたずらにあざみの花が、さびしく日だまりに、咲いているばかり、倒れかかった板垣の中には、無花果が青い実をつけて、人を恐れない鴉の群れは、昼も水のない池につどっている。