――馬の頭が、鬣に月の光を払って、三たび向きを変えた時、次郎はすでに馬背にあって、ひしと兄の胸をいだいていた。
と、たちまち一頭、血みどろの口をした黒犬が、すさまじくうなりながら、砂を巻いて鞍壺へ飛びあがった。
とがった牙が、危うく次郎のひざへかかる。
――馬の頭が、鬣に月の光を払って、三たび向きを変えた時、次郎はすでに馬背にあって、ひしと兄の胸をいだいていた。
と、たちまち一頭、血みどろの口をした黒犬が、すさまじくうなりながら、砂を巻いて鞍壺へ飛びあがった。
とがった牙が、危うく次郎のひざへかかる。