重吉は外套や帽子をとると、必ずこの「離れ」へ顔を出し、「唯今」とか「きょうは如何ですか」とか言葉をかけるのを常としていた。
しかし「離れ」の閾の内へは滅多に足も入れたことはなかった。
それは舅の肺結核に感染するのを怖れる為でもあり、又一つには息の匂を不快に思う為でもあった。
重吉は外套や帽子をとると、必ずこの「離れ」へ顔を出し、「唯今」とか「きょうは如何ですか」とか言葉をかけるのを常としていた。
しかし「離れ」の閾の内へは滅多に足も入れたことはなかった。
それは舅の肺結核に感染するのを怖れる為でもあり、又一つには息の匂を不快に思う為でもあった。