その普通といふのは主に短いものを書く場合で、長いものになると書いてゐる中に、作中の人間なり事件なりが予定とは違つた発展のしかたをすることが往々ある。
神様がこの世界を造つたものならば、どうしてこの世の中に悪だの悲しみがあるのだらうと人々はよく言ふが、神様も私の小説と同じやうに、この世界を拵へて行くうちに、世界それ自身が勝手に発展して思ふ通りに行かなかつたかも知れない。
それは冗談であるけれども、さういふ風に人物なり事件なりが予定とちがつて発展をする場合、ちがつた為めに作品がよくなるか、わるくなるかは一概に言へないであらうと思ふ。