唯、朧げに覚えてゐるのは、山に蔓る若葉の中を電車でむやみに上つて行つた事だけである。
それから何とか云ふ宿屋へとまつたら、隣座敷に立派な紳士が泊り合せてゐて、その人が又非常に湯が好きだつたものだから、あくる日は朝から六度も一しよに風呂へ行つた。
さうしたら腹の底からへとへとにくたびれて、廊下を歩くのさへ大儀になつた。
唯、朧げに覚えてゐるのは、山に蔓る若葉の中を電車でむやみに上つて行つた事だけである。
それから何とか云ふ宿屋へとまつたら、隣座敷に立派な紳士が泊り合せてゐて、その人が又非常に湯が好きだつたものだから、あくる日は朝から六度も一しよに風呂へ行つた。
さうしたら腹の底からへとへとにくたびれて、廊下を歩くのさへ大儀になつた。