童話時代のうす明りの中に、一頭の兎と一頭の狸とは、それぞれ白い舟と黒い舟とに乗つて、静に夢の海へ漕いで出た。
永久にくづれる事のない波は、善悪の舟をめぐつて、懶い子守唄をうたつてゐる。
花のない桜の木の下にゐた老人は、この時漸頭をあげて、海の上へ眼をやつた。
童話時代のうす明りの中に、一頭の兎と一頭の狸とは、それぞれ白い舟と黒い舟とに乗つて、静に夢の海へ漕いで出た。
永久にくづれる事のない波は、善悪の舟をめぐつて、懶い子守唄をうたつてゐる。
花のない桜の木の下にゐた老人は、この時漸頭をあげて、海の上へ眼をやつた。