和泉屋市兵衛を逐い帰すと、馬琴は独り縁側の柱へよりかかって、狭い庭の景色を眺めながら、まだおさまらない腹の虫を、むりにおさめようとして、骨を折った。
日の光をいっぱいに浴びた庭先には、葉の裂けた芭蕉や、坊主になりかかった梧桐が、槇や竹の緑といっしょになって、暖かく何坪かの秋を領している。
こっちの手水鉢の側にある芙蓉は、もう花が疎になったが、向うの、袖垣の外に植えた木犀は、まだその甘い匂いが衰えない。
和泉屋市兵衛を逐い帰すと、馬琴は独り縁側の柱へよりかかって、狭い庭の景色を眺めながら、まだおさまらない腹の虫を、むりにおさめようとして、骨を折った。
日の光をいっぱいに浴びた庭先には、葉の裂けた芭蕉や、坊主になりかかった梧桐が、槇や竹の緑といっしょになって、暖かく何坪かの秋を領している。
こっちの手水鉢の側にある芙蓉は、もう花が疎になったが、向うの、袖垣の外に植えた木犀は、まだその甘い匂いが衰えない。