私の後にある床の間には、花も活けてない青銅の瓶が一つ、威かつくどっしりと据えてあった。
そうしてその上には怪しげな楊柳観音の軸が、煤けた錦襴の表装の中に朦朧と墨色を弁じていた。
私は折々書見の眼をあげて、この古ぼけた仏画をふり返ると、必ず炷きもしない線香がどこかで匀っているような心もちがした。
私の後にある床の間には、花も活けてない青銅の瓶が一つ、威かつくどっしりと据えてあった。
そうしてその上には怪しげな楊柳観音の軸が、煤けた錦襴の表装の中に朦朧と墨色を弁じていた。
私は折々書見の眼をあげて、この古ぼけた仏画をふり返ると、必ず炷きもしない線香がどこかで匀っているような心もちがした。