芥川龍之介 『母』 やや長めな揉み上げの毛が、かすかに耳の根をぼかしたのも見える。 この姿見のある部屋には、隣室の赤児の啼き声のほかに、何一つ沈黙を破るものはない。 未に降り止まない雨の音さえ、ここでは一層その沈黙に、単調な気もちを添えるだけである。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア