内供は、誦しかけた経文をやめて、禿げ頭を傾けながら、時々こう呟く事があった。
愛すべき内供は、そう云う時になると、必ずぼんやり、傍にかけた普賢の画像を眺めながら、鼻の長かった四五日前の事を憶い出して、「今はむげにいやしくなりさがれる人の、さかえたる昔をしのぶがごとく」ふさぎこんでしまうのである。
――内供には、遺憾ながらこの問に答を与える明が欠けていた。
内供は、誦しかけた経文をやめて、禿げ頭を傾けながら、時々こう呟く事があった。
愛すべき内供は、そう云う時になると、必ずぼんやり、傍にかけた普賢の画像を眺めながら、鼻の長かった四五日前の事を憶い出して、「今はむげにいやしくなりさがれる人の、さかえたる昔をしのぶがごとく」ふさぎこんでしまうのである。
――内供には、遺憾ながらこの問に答を与える明が欠けていた。