更に又杯盤狼藉の間に、従容迫らない態度などは何とはなしに心憎いものがある。
いつも人生を薔薇色の光りに仄めかそうとする浪曼主義。
その誘惑を意識しつつ、しかもその誘惑に抵抗しない、たとえば中途まで送って来た妓と、「何事かひそひそ囁き交したる後」莫迦莫迦しさをも承知した上、「わざと取ってつけたように高く左様なら」と云い合いて、別れ別れに一方は大路へ、一方は小路へ、姿を下駄音と共に消すのも、満更厭な気ばかり起させる訳でもない。
更に又杯盤狼藉の間に、従容迫らない態度などは何とはなしに心憎いものがある。
いつも人生を薔薇色の光りに仄めかそうとする浪曼主義。
その誘惑を意識しつつ、しかもその誘惑に抵抗しない、たとえば中途まで送って来た妓と、「何事かひそひそ囁き交したる後」莫迦莫迦しさをも承知した上、「わざと取ってつけたように高く左様なら」と云い合いて、別れ別れに一方は大路へ、一方は小路へ、姿を下駄音と共に消すのも、満更厭な気ばかり起させる訳でもない。