そこで、栞代りに、名刺を本の間へはさんで、それを籐椅子の上に置くと、先生は、落着かない容子で、銘仙の単衣の前を直しながら、ちよいと又、鼻の先の岐阜提灯へ眼をやつた。
誰もさうであらうが、待たせてある客より、待たせて置く主人の方が、かう云ふ場合は多く待遠しい。
尤も、日頃から謹厳な先生の事だから、これが、今日のやうな未知の女客に対してでなくとも、さうだと云ふ事は、わざわざ断る必要もないであらう。
そこで、栞代りに、名刺を本の間へはさんで、それを籐椅子の上に置くと、先生は、落着かない容子で、銘仙の単衣の前を直しながら、ちよいと又、鼻の先の岐阜提灯へ眼をやつた。
誰もさうであらうが、待たせてある客より、待たせて置く主人の方が、かう云ふ場合は多く待遠しい。
尤も、日頃から謹厳な先生の事だから、これが、今日のやうな未知の女客に対してでなくとも、さうだと云ふ事は、わざわざ断る必要もないであらう。