が、天台山を去つて数十里――と言つても六町一里位でありませうが、兎に角数十里来るうちに、ふと任翻は「一江の水」よりも「半江の水」と言つた方が適切だつたことに気づきました。
そこでもう一度御苦労にも巾子峰へ引き返して見ると、誰かもう壁に書いた「一江の水」を「半江の水」と書き改めてしまつた後でありました。
先手を打たれた任翻はこの改作を眺めながら、しみじみ「台州(天台山のある土地の名)人有り」と長嘆したと言ふことであります。
が、天台山を去つて数十里――と言つても六町一里位でありませうが、兎に角数十里来るうちに、ふと任翻は「一江の水」よりも「半江の水」と言つた方が適切だつたことに気づきました。
そこでもう一度御苦労にも巾子峰へ引き返して見ると、誰かもう壁に書いた「一江の水」を「半江の水」と書き改めてしまつた後でありました。
先手を打たれた任翻はこの改作を眺めながら、しみじみ「台州(天台山のある土地の名)人有り」と長嘆したと言ふことであります。