芥川龍之介 『槍ヶ嶽紀行』 その軒に懸つてゐる岐阜提灯も、ありありと眼に見えるやうな気がした。 しかし私を繞つてゐるものは、人煙を絶つた谿谷であつた。 私は妙な矛盾の感じを頭一ぱいに持ちながら、無愛想な案内者の尻について、漸く対岸を蔽つてゐる熊笹の中へ辿り着いた。 芥川龍之介の名言・名文を読む 用例を検索する → シェア