私は時々大石の上に足を止めて、何時か姿を露し出した、槍ヶ嶽の絶巓を眺めやつた。
絶巓は大きな石鏃のやうに、夕焼の余炎が消えかかつた空を、何時も黒々と切り抜いてゐた。
「山は自然の始にして又終なり」――私はその頂を眺める度に、かう云ふ文語体の感想を必心に繰返した。
私は時々大石の上に足を止めて、何時か姿を露し出した、槍ヶ嶽の絶巓を眺めやつた。
絶巓は大きな石鏃のやうに、夕焼の余炎が消えかかつた空を、何時も黒々と切り抜いてゐた。
「山は自然の始にして又終なり」――私はその頂を眺める度に、かう云ふ文語体の感想を必心に繰返した。