私は漸く山上の高寒を肌に感じながら、一分も早く今夜宿る無人の岩室に辿り着くべく、懸命に急角度の斜面を登つて行つた。
が、ふと異様な声に驚かされて、思はず左右を見廻すと、あまり遠くない偃ひ松の茂みの上を、流れるやうに飛んで行く褐色の鳥が一羽あつた。
「何だい、あの鳥は。
私は漸く山上の高寒を肌に感じながら、一分も早く今夜宿る無人の岩室に辿り着くべく、懸命に急角度の斜面を登つて行つた。
が、ふと異様な声に驚かされて、思はず左右を見廻すと、あまり遠くない偃ひ松の茂みの上を、流れるやうに飛んで行く褐色の鳥が一羽あつた。
「何だい、あの鳥は。