これは或老女の話である。
……横浜の或亜米利加人へ雛を売る約束の出来たのは十一月頃のことでございます。
紀の国屋と申したわたしの家は親代々諸大名のお金御用を勤めて居りましたし、殊に紫竹とか申した祖父は大通の一人にもなつて居りましたから、雛もわたしのではございますが、中々見事に出来て居りました。
これは或老女の話である。
……横浜の或亜米利加人へ雛を売る約束の出来たのは十一月頃のことでございます。
紀の国屋と申したわたしの家は親代々諸大名のお金御用を勤めて居りましたし、殊に紫竹とか申した祖父は大通の一人にもなつて居りましたから、雛もわたしのではございますが、中々見事に出来て居りました。