わたしの家と申しましても、三度目の火事に遇つた後は普請もほんたうには参りません。
焼け残つた土蔵を一家の住居に、それへさしかけて仮普請を見世にしてゐたのでございます。
尤も当時は俄仕込みの薬屋をやつて居りましたから、正徳丸とか安経湯とか或は又胎毒散とか、――さう云ふ薬の金看板だけは薬箪笥の上に並んで居りました。
わたしの家と申しましても、三度目の火事に遇つた後は普請もほんたうには参りません。
焼け残つた土蔵を一家の住居に、それへさしかけて仮普請を見世にしてゐたのでございます。
尤も当時は俄仕込みの薬屋をやつて居りましたから、正徳丸とか安経湯とか或は又胎毒散とか、――さう云ふ薬の金看板だけは薬箪笥の上に並んで居りました。