母は風邪に罹つたせゐか、それとも又下唇に出来た粟粒程の腫物のせゐか、気持が悪いと申したぎり、朝の御飯も頂きません。
わたしと台所を片づけた後は片手に額を抑へながら、唯ぢつと長火鉢の前に俯向いてゐるのでございます。
ところが彼是お午時分、ふと顔を擡げたのを見ると、腫物のあつた下唇だけ、丁度赤いお薩のやうに脹れ上つてゐるではございませんか?
母は風邪に罹つたせゐか、それとも又下唇に出来た粟粒程の腫物のせゐか、気持が悪いと申したぎり、朝の御飯も頂きません。
わたしと台所を片づけた後は片手に額を抑へながら、唯ぢつと長火鉢の前に俯向いてゐるのでございます。
ところが彼是お午時分、ふと顔を擡げたのを見ると、腫物のあつた下唇だけ、丁度赤いお薩のやうに脹れ上つてゐるではございませんか?