家康には表面さる事見えざりしかど、所詮言ふと言はぬとの相違にて、実は両雄とも多情の男なりけん。
深きは言はぬ方なるべし。
「さはれ流石に思慮深き家康は、秀吉の如く閨門の裡に一家滅亡の種を蒔かず、其が第一の禁物たる奢は女中にも厳に仮さで、奥向にも倹素の風行はれしは、彼の本多佐渡守が秀忠将軍の乳母なる大婆に一言咎められて、返す詞も無かりし一場の話に徴して知るべし。
家康には表面さる事見えざりしかど、所詮言ふと言はぬとの相違にて、実は両雄とも多情の男なりけん。
深きは言はぬ方なるべし。
「さはれ流石に思慮深き家康は、秀吉の如く閨門の裡に一家滅亡の種を蒔かず、其が第一の禁物たる奢は女中にも厳に仮さで、奥向にも倹素の風行はれしは、彼の本多佐渡守が秀忠将軍の乳母なる大婆に一言咎められて、返す詞も無かりし一場の話に徴して知るべし。