この傘張の翁も天主の御教を奉ずる人故、娘ともども「えけれしや」へは参る慣であつたに、御祈の暇にも、娘は香炉をさげた「ろおれんぞ」の姿から、眼を離したと申す事がござない。
まして「えけれしや」への出入りには、必髪かたちを美しうして、「ろおれんぞ」のゐる方へ眼づかひをするが定であつた。
さればおのづと奉教人衆の人目にも止り、娘が行きずりに「ろおれんぞ」の足を踏んだと云ひ出すものもあれば、二人が艶書をとりかはすをしかと見とどけたと申すものも、出て来たげでござる。
この傘張の翁も天主の御教を奉ずる人故、娘ともども「えけれしや」へは参る慣であつたに、御祈の暇にも、娘は香炉をさげた「ろおれんぞ」の姿から、眼を離したと申す事がござない。
まして「えけれしや」への出入りには、必髪かたちを美しうして、「ろおれんぞ」のゐる方へ眼づかひをするが定であつた。
さればおのづと奉教人衆の人目にも止り、娘が行きずりに「ろおれんぞ」の足を踏んだと云ひ出すものもあれば、二人が艶書をとりかはすをしかと見とどけたと申すものも、出て来たげでござる。