これは「ろおれんぞ」が追ひ出されると云ふ悲しさよりも、「ろおれんぞ」に欺かれたと云ふ腹立たしさが一倍故、あのいたいけな少年が、折からの凩が吹く中へ、しをしをと戸口を出かかつたに、傍から拳をふるうて、したたかその美しい顔を打つた。
「ろおれんぞ」は剛力に打たれたに由つて、思はずそこへ倒れたが、やがて起きあがると、涙ぐんだ眼で、空を仰ぎながら、「御主も許させ給へ。
『しめおん』は、己が仕業もわきまへぬものでござる」と、わななく声で祈つたと申す事ぢや。
これは「ろおれんぞ」が追ひ出されると云ふ悲しさよりも、「ろおれんぞ」に欺かれたと云ふ腹立たしさが一倍故、あのいたいけな少年が、折からの凩が吹く中へ、しをしをと戸口を出かかつたに、傍から拳をふるうて、したたかその美しい顔を打つた。
「ろおれんぞ」は剛力に打たれたに由つて、思はずそこへ倒れたが、やがて起きあがると、涙ぐんだ眼で、空を仰ぎながら、「御主も許させ給へ。
『しめおん』は、己が仕業もわきまへぬものでござる」と、わななく声で祈つたと申す事ぢや。