「しめおん」もこれには気が挫けたのでござらう。
暫くは唯戸口に立つて、拳を空にふるうて居つたが、その外の「いるまん」衆も、いろいろととりないたれば、それを機会に手を束ねて、嵐も吹き出でようず空の如く、凄じく顔を曇らせながら、悄々「さんた・るちや」の門を出る「ろおれんぞ」の後姿を、貪るやうにきつと見送つて居つた。
その時居合はせた奉教人衆の話を伝へ聞けば、時しも凩にゆらぐ日輪が、うなだれて歩む「ろおれんぞ」の頭のかなた、長崎の西の空に沈まうず景色であつたに由つて、あの少年のやさしい姿は、とんと一天の火焔の中に、立ちきはまつたやうに見えたと申す。