「ろおれんぞ」が破門されると間もなく、月も満たず女の子を産み落いたが、さすがにかたくなしい父の翁も、初孫の顔は憎からず思うたのでござらう、娘ともども大切に介抱して、自ら抱きもしかかへもし、時にはもてあそびの人形などもとらせたと申す事でござる。
翁は元よりさもあらうずなれど、ここに稀有なは「いるまん」の「しめおん」ぢや。
あの「ぢやぼ」(悪魔)をも挫がうず大男が、娘に子が産まれるや否や、暇ある毎に傘張の翁を訪れて、無骨な腕に幼子を抱き上げては、にがにがしげな顔に涙を浮べて、弟と愛しんだ、あえかな「ろおれんぞ」の優姿を、思ひ慕つて居つたと申す。