唯、娘のみは、「さんた・るちや」を出でてこの方、絶えて「ろおれんぞ」が姿を見せぬのを、怨めしう歎きわびた気色であつたれば、「しめおん」の訪れるのさへ、何かと快からず思ふげに見えた。
この国の諺にも、光陰に関守なしと申す通り、とかうする程に、一年あまりの年月は、瞬くひまに過ぎたと思召されい。
ここに思ひもよらぬ大変が起つたと申すは、一夜の中に長崎の町の半ばを焼き払つた、あの大火事のあつた事ぢや。
唯、娘のみは、「さんた・るちや」を出でてこの方、絶えて「ろおれんぞ」が姿を見せぬのを、怨めしう歎きわびた気色であつたれば、「しめおん」の訪れるのさへ、何かと快からず思ふげに見えた。
この国の諺にも、光陰に関守なしと申す通り、とかうする程に、一年あまりの年月は、瞬くひまに過ぎたと思召されい。
ここに思ひもよらぬ大変が起つたと申すは、一夜の中に長崎の町の半ばを焼き払つた、あの大火事のあつた事ぢや。