その時翁の傍から、誰とも知らず、高らかに「御主、助け給へ」と叫ぶものがござつた。
声ざまに聞き覚えもござれば、「しめおん」が頭をめぐらして、その声の主をきつと見れば、いかな事、これは紛ひもない「ろおれんぞ」ぢや。
清らかに痩せ細つた顔は、火の光に赤うかがやいて、風に乱れる黒髪も、肩に余るげに思はれたが、哀れにも美しい眉目のかたちは、一目見てそれと知られた。
その時翁の傍から、誰とも知らず、高らかに「御主、助け給へ」と叫ぶものがござつた。
声ざまに聞き覚えもござれば、「しめおん」が頭をめぐらして、その声の主をきつと見れば、いかな事、これは紛ひもない「ろおれんぞ」ぢや。
清らかに痩せ細つた顔は、火の光に赤うかがやいて、風に乱れる黒髪も、肩に余るげに思はれたが、哀れにも美しい眉目のかたちは、一目見てそれと知られた。